
現在(2011年1月)、世界中で、「絶滅危惧種」と呼ばれる生き物は約19,000種。
既知数(生存が確認されて学名がついている種の数=地球上に生息するすべての生きものの数)が約17,000,000種といわれているので、それからみると1%強と小さな数値です。
しかし、それらが分類上からみると大きな割合になっていたり、生態系に大きな影響を与えるような重要な種であったり、このまま看過することはできない状況です。
また、すべての種を評価/分析した結果ではないことも付け加えておかなければなりません。 比較的個体数の確認がしやすいほ乳類は100%、鳥類もほぼ100%評価できていますが、種の数が多く、亜種や変種も多い昆虫にいたっては0.3%程度しか評価されていないのが現状です。同様の理由で植物や、調査範囲が広い海洋魚類も評価率が低い種類です。
したがって、これから飛躍的に評価数が伸びることは考えにくく、また、評価を開始したら絶滅寸前だったという種が増えるかも知れません。
ほ乳類は2011年1月現在、5,494種中1,134種がレッドリストに掲載されています。これは全体の21%で、5種に1種は絶滅危惧種ということになり、深刻な状況です。
早くから保護活動が行われてきた哺乳類は、飼育・野生再導入などの努力の成果が表れ、2009年をピークに減少、横ばい傾向にあります。
それでも、21%という高い絶滅危惧率が続いており、予断を許さない状況です。
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鳥類は2011年1月現在、10,027種中1,240種がレッドリストに掲載されています。これは全体の12%に当たります。
食物連鎖の頂点に立つ種が多い鳥類はエサとなる小動物や魚類の影響を大きく受けてしまいます。汚染された餌を食べて固体汚染されてしまったり、エサがなくなることで、生存基盤も危うくなります。
遠距離を移動する渡り鳥などは、経由地が必ずしも保護地域でない場合が多く、国境を越えた国際的な保護の取り組みが必要となっています。
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は虫類は2011年1月現在9,362種中664種がレッドリストに掲載されています。全体の7%程度ですが、評価率が30%と低く、評価数に対する絶滅危惧種の割合は22%に上ります。
さらに、毎年50~100種ずつ増加しており、今後評価が進むにつれてさらに増え続けると見られています。
特に東・東南アジア地域の陸棲・淡水棲のカメについて、乱獲によってこの10年で絶滅危惧種数が2倍に増えたとの報告もあり、今後の保護が重要になってきます。
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両生類は2011年1月現在6,771種中1,910種がレッドリストに掲載されています。全体の28%にも上る絶滅危惧種はさらに増加しています。
急激な気候変動に適応できず、またカエル特有のカエルツボカビ病の大発生によって、世界中のカエルが死滅しています。IUCNでは「劇的な減少」という表現をしています。
両生類の絶滅は急速に起こり、両生類のモニタリングをしている専門研究者はほとんどいないため、両生類の状況について明確で最新の状況を得るのが困難な状態です。
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魚類は2011年1月現在32,000種中2,011種がに掲載されています。全体の6%と少なく思えますが、特に生息・活動範囲の広い海洋魚類の評価は困難で、評価率は30%を切っています。
それでも、近海のサメやエイ、タツノオトシゴの仲間の評価は近年進んでいて、過剰漁業により、この分類群の20%が絶滅の危機にあるといわれています。また、メガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)はこの10~15年で50%も個体数が減少しています。
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昆虫類は2011年1月現在1,000,000種中746種がレッドリストに掲載されています。全体の0.07%です。
昆虫は亜種や変種も多いため分類も難しく、評価が進んでいません。評価自体が全体の0.3%しか進んでいないのですが、絶滅危惧種の数は毎年増加の一途をたどっています。
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植物類は2011年1月現在307,674種中9,098種がレッドリストに掲載されています。全体の3%に相当します。
植物も評価が全体の5%未満しか進んでいませんが、絶滅危惧種の絶対数は最も多く、毎年数百の単位で増加し続けています。
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